上場直前に行った株式の割当てを受けた者は、当該株式の上場により短期利得を得やすいことから、新規公開株式の取得者との公平性をケアするために株式を一定期間売却できないようにする、いわゆる「制度ロックアップ」が取引所規則によって求められている。
しかし、当社はロックアップ確約書を交わしていたはずの著名個人投資家が、当社に一切の通知をせずにロックアップ期間中に当社株式を売却していたことを株主名簿から発見してしまう。
こうして発覚したロックアップ違反は、違反者が投資家界隈で有名であったこともあり、大きな話題に。
結局、違反者はロックアップ解除時以降の想定売却収入と実際の売却価額との収入差額、および、取引所や当局からのペナルティ予測額の合計として、4.84億円を自主的に当社に対して支払う旨の提案を行い、当社はしぶしぶこれを受諾するという前代未聞の事態に落ち着いた。
今年はこうした、取引所規程や内規に定められた制限期間の間に、有名投資家や実業家が「誤って」株式を売却してしまう事例が複数発生している。
発行企業側と投資家との間で、現状は違反した際のペナルティ、もしくは、違反を防ぐような制度が何ら担保されていないことも問題視されており、これを大口投資家の「マナー」に帰すべきレベルの問題なのか、個人投資家・公認会計士の間でも議論の的となっている。 |