2018年に、関西電力の役員等が社外の関係者から金品等を受け取っていた問題が明らかとなり、当社は昨年に第三者委員会を設置。当開示はその調査報告書を含んでいる。
その「社外の関係者」とは、元福井県高浜町助役の森山榮治氏。 本件は森山氏に対する2018年以降の税務調査によって発覚したとされるが、同氏は第三者委員会が設置される前の2019年3月に逝去しており、委員会は金品を関電幹部に渡した動機に関して森山氏から直接聞き取ることは出来なかった。
森山氏は1969年に高浜町に就職して以来、高浜発電所の立地に際して、当時の浜田倫三町長とともに原子力発電所の積極的な誘致・運営を推進。 その過程で関西電力に「顔が利く人物」と認識されるようになる。
その後は発電所内外で発生する、文字通り「種々の」問題の解決に尽力することを通じて関電幹部に対する影響力を強め、「関電の弱みを握る人物」へと次第に「モンスター」化していく。
同氏は福井県の人権行政に対しても後に多大な影響力を持ち、さらに発生する「種々の」問題を通じて、関電役職員に対する人権研修を行うようになり、目の前で関電幹部を怒鳴りつける人物として「先生」と呼称され、社内でも畏怖の念を抱かれていたという。
森山氏による金品の受け渡しは、もちろん自身や自身が関係する企業などに対する見返りを求める意図もあったと考えられるが、金品の受け渡しと、関電が同氏に対して便宜を図った時期は必ずしも前後するものではなく、自らの影響力を維持するために、長期間・多数回にわたり多額の金品を提供し続けてきたものとみられている。
この調査報告書は、1人の「助役」が「モンスターのような存在」と報告書に記載されるまでに肥大化していく原発行政の「闇」の一記録であり、令和に入っても「終わり切っていない昭和」がいまだ存在することを知らしめるものである。 |