銘柄コード:6502 | 東芝 |
[PDF] 第178期 (2017年3月期) 有価証券報告書 | |
「忖度」象徴する1年に | |
海外原子力事業の失敗が明るみに出て以来、東芝ブランドと株価は一気に坂道を転げ落ちた。 3月には子会社であった米ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)について、連邦破産法11条(チャプター・イレブン)の適用を申請。上場維持に向けて損失額の確定を急いだ。 しかしながら、当社と監査法人PwC あらたとの間で、この撤退損失の額およびその計上時期等についての見解が真っ向から対立。 それでもPwC 側は"あらた"のみならず、WEC を監査する米国PwC の幹部までもが来日して東芝幹部と議論するなどし、有価証券報告書の提出は延期に次ぐ延期となった。当然、延期後の期限にも出せないようであれば上場維持は有り得ない。 しかもこの限定付適正というのが、監査を実施するうえで制約を受けたときに表明される「範囲限定」ではなく、経営者が採用した会計方針の選択及びその適用方法などに関して不適切なものがあると判断していることを意味する「意見に関する除外」であったことも「前代未聞」と外部の会計士を驚かせた。 各所の国際的かつ政治的にも高度な判断の賜物とは想像されるが、「間違っていたら直させるべきで、監督官庁がなぜ、受け取ったのか不思議でならない」、「なぜここまで無理をして上場維持にこだわったのか分からない」など会計士らの声も聞かれた。 | |
投票者のコメント: 「忖度が話題となった今年を象徴するIR、あるいはエスタブリッシュ企業は粉飾しなければ損、という誤ったメッセージを発信し、日本のガバナンスの命日となった記念碑的IRとして。」(Econopunk さん) | |