Disclosure Award 2017(適時開示アワード 2017)

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適時開示アワード2017 大賞

獲得ポイント:39pt

ノミネート番号:9

銘柄コード:6502東芝
[PDF] 第178期 (2017年3月期) 有価証券報告書
「忖度」象徴する1年に

海外原子力事業の失敗が明るみに出て以来、東芝ブランドと株価は一気に坂道を転げ落ちた。

3月には子会社であった米ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)について、連邦破産法11条(チャプター・イレブン)の適用を申請。上場維持に向けて損失額の確定を急いだ。

しかしながら、当社と監査法人PwC あらたとの間で、この撤退損失の額およびその計上時期等についての見解が真っ向から対立。
一度は監査法人を交代させるという荒業も検討されたが、結局この事態に陥ったこの規模の会社を、限られた期間で対応できる監査法人は現れなかった。

それでもPwC 側は"あらた"のみならず、WEC を監査する米国PwC の幹部までもが来日して東芝幹部と議論するなどし、有価証券報告書の提出は延期に次ぐ延期となった。当然、延期後の期限にも出せないようであれば上場維持は有り得ない。
この状況下で、最終的に落ち着いたのは、あらた側が監査報告書に「限定付適正意見」を表明することだった。

しかもこの限定付適正というのが、監査を実施するうえで制約を受けたときに表明される「範囲限定」ではなく、経営者が採用した会計方針の選択及びその適用方法などに関して不適切なものがあると判断していることを意味する「意見に関する除外」であったことも「前代未聞」と外部の会計士を驚かせた。

各所の国際的かつ政治的にも高度な判断の賜物とは想像されるが、「間違っていたら直させるべきで、監督官庁がなぜ、受け取ったのか不思議でならない」、「なぜここまで無理をして上場維持にこだわったのか分からない」など会計士らの声も聞かれた。

投票者のコメント:

「理屈捏ねても所詮お上の丁稚扱いなのね。と監査法人と会計士の立ち位置を危うくした大事故事例なので。あらたは頑張った。が業界内で意見の再検証させられるとか恥ずかしくないですかね。しかもまだ続くという。」(かたゆで さん)

「忖度が話題となった今年を象徴するIR、あるいはエスタブリッシュ企業は粉飾しなければ損、という誤ったメッセージを発信し、日本のガバナンスの命日となった記念碑的IRとして。」(Econopunk さん)