Disclosure Award 2018(適時開示アワード 2018)

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適時開示アワード2018 大賞

獲得ポイント:84pt

ノミネート番号:12

銘柄コード:8358スルガ銀行
[PDF]調査報告書(公表版)
歴史的超低金利が産んだモンスター

前金融庁長官に「地銀の優等生」と評された高収益地銀の雄。
その輝かしい成績の裏には、スマートデイズ「かぼちゃの馬車」に代表されるシェアハウス不正融資など、「およそ銀行とは思えない」杜撰な経営姿勢があった。

その実態を調査した委員会による300 ページを超える当調査報告書は、「書類の偽装の蔓延」「取引停止業者との連絡の継続」「業者からの金員の受領」「営業のプレッシャー」「審査への圧力」など、目次ですでに圧倒されるが、中身は個人への不動産融資の現状を色濃くあぶり出す珠玉の作品。

「不正が全くない案件など、全体の1%あったかなかったかそのレベル」「数字の変更などあればすぐ訂正できるデータで作っておりますので、お申し付けください」「20月20日との記載がある預金通帳」「同僚に”偽造王”と揶揄された行員」「カーテンやってきます」「測量に問題があった場合には、力添えしてもらう一級建築士」「業者から行員宛てに引くほど振り込まれる交通費」「数字ができないなら、ビルから飛び降りろ」「ノルマが出来ないと夜の10時過ぎても帰れず、残業代も出ない」…。

引用すればキリがないパワーフレーズ連発のメガ資料は金曜日に公表され、急きょ週末を読書に奪われた不動産クラスタも少なくなかったが、銀行員目線で見れば何故「パーソナル・バンク」部門や、役員でもない元専務執行役員(Co-COO)が融資部を超越した絶大な権力を持つに至ったのか、疑問は尽きなかった。

この報告書を受け、当社は役員を刷新。責任追及のため「取締役等責任調査委員会」を設置し、この一大不祥事に関わった役員らには巨額の賠償を請求している。

投票者のコメント:

「平成末期に現れたIR文学の金字塔。 冷静かつ客観的な報告書から随所に滲み出る「エビどう?」の精神。追い詰められる行員。 まるで名作小説のような印象的なワードの数々に心震えるサスペンス超大作。」(@serinasu さん)

「リーマンショック後の10年のエンド向け不動産投資市場の牽引役は間違いなくスルガ銀行であったと思います。自身の利を優先することなく日本の不動産投資市場のために身を挺して貸し付ける行員の姿に涙を禁じえませんでした。麻生Co-COOの再就職先は我々の業界で引き受けますありがとうございました。」(kazuo57 さん)