Disclosure Award 2015(適時開示アワード 2016)

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2016年 ノミネート適時開示書類一覧

  1. フィット「平成28年3月期(第8期)決算短信発表の延期に関するお知らせ」
  2. クレアHD「当社の会計監査人に関するお知らせ」
  3. クックパッド「株主提案権の行使に係る書面の受領に関するお知らせ」
  4. 大戸屋HD「大戸屋コンプライアンス第三者委員会「調査報告書」」
  5. オークファン「会計監査人の異動および一時会計監査人の選任に関するお知らせ」
  6. ALBERT「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ」
  7. 電通「日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について」
  8. アキュセラ「ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて」
  9. オウチーノ「連結子会社における債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ」
  10. AppBank「社内調査委員会からの調査報告書受領及び当社の対応についてのお知らせ」
  11. 郷鉄工所「資金の借入に関するお知らせ」
  12. ソルガム・ジャパンHD(旧SOL HD)「営業外損失及び特別損失の計上に関するお知らせ」
  13. 壱番屋「産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ」
  14. LCHD(旧ロジコム)「第三者割当による新株式の発行、株式会社ダヴィンチ・ホールディングス株式の取得及び資本業務提携並びに主要株主の異動に関するお知らせ」
  15. サハダイヤモンド「(開示事項の経過)(開示事項の訂正・変更)「第三者割当により発行される株式および第11回新株予約権の募集並びに新たな事業の開始に関するお知らせ」」
  16. 王将フードサービス「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」

ノミネート番号:1

銘柄コード:1436フィット
[PDF] 平成28年3月期(第8期)決算短信発表の延期に関するお知らせ
上場審査とは何だったのか

今年3月11日に東証マザーズへ上場。
しかし、そのわずか2ヶ月後には前期決算における売上計上時期に関する会計処理に疑義があるとの監査法人からの指摘を受け、第三者委員会を設置。

決算発表を延期することになり、上場後「決算発表も株主総会もできないという新規上場企業」として話題になった。

直前期に上場審査をクリアするためと思われる売上の積極的な前倒し計上が行われるも、第三者委員会は社長含むほとんどの役員について「適正性を欠く会計処理を主導し、又は直接に指示していた事実は認められない」と認定。
マザーズは「上場したもの勝ち」市場なのであった。

ノミネート番号:2

銘柄コード:1757クレアHD
[PDF] 当社の会計監査人に関するお知らせ
伝説の会計士、また新たなレジェンドに

クレアHD、SJI、小僧寿しの会計監査人を担当していた公認会計士事務所が、「品質管理の基準に適合した品質管理のシステムに準拠しているとはいえない」との理由で、日本公認会計士協会より上場会社監査事務所の準登録事務所名簿から取り消される事態に。
業界では(ある意味)レジェンドとして知られる公認会計士が代表者となっていた事務所であったことから、一部の人々がざわついた。

これを受けて各社は新たな会計監査人を探す必要に迫られたわけだが、中でも当社は「当社では今回の事態により、来年度(平成30年3月期)以降の新たな会計監査人の選定が必要であり、検討を進めてまいります。」と、当期はこのまま行くのかよ、と取れるような見解を表明。

ノミネート番号:3

銘柄コード:2193クックパッド
[PDF] 株主提案権の行使に係る書面の受領に関するお知らせ
創業者vs経営陣 内紛で社内も大混乱

創業者で筆頭株主でもあった佐野陽光氏から2012年に社長を引き継いだ穐田誉輝氏は、当社の主要サービスである料理レシピサイトから多角化路線に乗り出し、株価を数倍に引き上げるほどの経営手腕を発揮していた。

しかし、佐野氏サイドは多角化路線に走る経営側を、「基幹事業である会員事業や高い成長性が見込まれる海外事業に経営資源を割かず、料理から離れた事業に注力するなど中長期的な企業価値向上に不可欠な一貫した経営ビジョンに大きな歪みが出てき」たと批判。
当適時開示では、佐野氏側が経営陣の刷新を求めて株主提案権を行使していたことが公表された。

この後、最終的には取締役選任について両サイド一本化には至ったものの、その間当社の株価は急落し、人材も流出する事態となり、「お粗末なガバナンスと言うしかなかった」との声も。

ノミネート番号:4

銘柄コード:2705大戸屋HD
[PDF] 大戸屋コンプライアンス第三者委員会「調査報告書」
お茶の間も騒然とした”お骨事件”

実質的な創業者である三森久実会長の死去を発端とし、窪田健一社長および経営陣と久実氏の遺族である三森三枝子夫人・三森智仁氏との間に確執が生じ、経営に悪影響が出始めていた大戸屋。

この問題をコンプライアンスおよびガバナンスの観点から審議するため、郷原信郎氏を委員長とする第三者委員会を設置した際の調査報告書が、お茶の間のワイドショーでも取り上げられるほどのドラマ性を有しており、文句無しのノミネート。

報告書13ページに「お骨事件」として記述されている、遺族側が遺骨と位牌を持って本社裏口から社長室に乗り込むシーンは、まるで東海テレビ制作の昼ドラのようであり、ネット上でも「ドラマ化希望」の声が湧き上がった。

なお、当報告書は適時開示されていないため、このために2016年より適時開示アワードのルール変更が行わている。

ノミネート番号:5

銘柄コード:3674オークファン
[PDF] 会計監査人の異動および一時会計監査人の選任に関するお知らせ
あずさの監査は「株主利益の観点から妥当でない」

平成28 年9月に、平成27年9月期と平成28年9月期における他社との売上高30百万円の取引及びその類似取引について、あずさ監査法人から追加的な監査手続の実施の申し入れがあったという当社。

あずさ側は対象取引にかかわった全担当者へのヒアリング等を行うことを求めたが、これを当社は「当社の収益規模と比較して過大な監査費用の負担となりかねず、それは株主利益の維持という観点から妥当ではない」と拒否。

これに伴い、あずさとの監査契約はご破算に。監査法人アリアを一時会計監査人に選任した。

ノミネート番号:6

銘柄コード:3906ALBERT
[PDF] 第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債の募集に関するお知らせ
分析力が売りなのにデータサイエンティスト不足

「分析力をコアとする」ソリューションサービスを展開し、昨年2月に上場した当社は、上場後すぐに赤字に転落し、その過程で最高顧問となる予定だった元会長がインサイダー取引の疑いで強制調査を受けるなど波乱のマザーズ生活を満喫中。

当期も赤字に転落した状況で、最大希薄化率が91.33%にも及ぶ転換社債型新株予約権付社債の第三者割当を、「資金調達の緊急性が十分に認められる」等の理由から、株主総会に諮ることなく決議した。

分析力をコアとしているはずの当社で、現状データサイエンティストが不足しているなど、当社を取り巻く環境すべてが「緊急性」に覆われていることを存分に感じさせる開示であった。

ノミネート番号:7

銘柄コード:4324電通
[PDF] 日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について
すべてはこの一件から始まった

広告主向けのデジタル広告サービスにおいて、複数の不適切業務が行われていた事実が判明。
不適切な部分に相当する金額は概算で約2億3千万円と、同社の規模感からすれば大きくはないが、掲載していないウェブ広告費用を故意にクライアントへ請求する事例もあり、さらには本件が広告主であるトヨタ自動車による指摘で判明するなど、「ウェブ広告の闇」を指摘する声も。

本件においては、不適切な業務の実態調査に追われた東京大学を出たばかりの新卒女性社員が過労を原因とするとみられる自殺に至ったことも業界を震撼させた。

過労自殺の一件をめぐっては報道も過熱し、事態を重く見た厚労省も家宅捜索に踏み切った。
「鬼十則」で知られる当社の労務管理が見直される契機となるか注目が集まっている。

ノミネート番号:8

銘柄コード:4589アキュセラ
[PDF] ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて
投資家にとっても「残念な結果となりました」

当社が開発中の、地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性への治療薬(候補)「エミクススタト塩酸塩」が、SEATTLE試験の結果、その有意性が認められなかったことを受けた開示。

臨床試験への期待が高まり、当開示の前日には大株主の経営者によるSNS でのつぶやきもあり、株価がピークまで来たところでの「この度の臨床試験は、患者の方々にとっても医師にとっても残念な結果となりました。」というフレーズが印象的なこの開示は、その後の6日連続のストップ安を誘発するなど、投資家にとっても「残念な結果」に。

本件においては当社の株価動向のみならず、前述の大株主である証券会社側が、「当該適時開示の前後において当社等が保有するアキュセラ社の株式について売却を一切行っていないこと」をアピールし、この開示後もアキュセラ株を買い増し続けるなど、その独特の行動が投資家の間でも話題になり続けた。

ノミネート番号:9

銘柄コード:6084オウチーノ
[PDF] 連結子会社における債権の取立不能又は取立遅延のおそれに関するお知らせ
海外不動産、気をつけないとアウチーノ

当社の連結子会社であり、「不動産の売買、仲介、賃貸、管理及び鑑定」を主要事業とする会社が計上していた外国企業に対する債権が焦げ付いたお話。

転売目的で、モンゴル国ウランバートル市に建設予定であったアパートメントの売買契約を結んだものの、期限までの引渡しに至らず、子会社は前渡金および違約金を相手先に請求。
しかし、債権回収は遅々として進まず、今回の開示に至った。

本件開示をめぐっては、その取引相手先の概要が今なお資本金・設立年・総資産額や大株主など一切の情報につき確認が取れておらず、「そりゃ回収できないよね」と取引のずさんさを指摘する声もあり、不動産クラスタからの熱烈なノミネートが寄せられた。

ノミネート番号:10

銘柄コード:6177AppBank
[PDF] 社内調査委員会からの調査報告書受領及び当社の対応についてのお知らせ
マックスむらい釈明動画にネット騒然

今年、当社からの刑事告訴により詐欺容疑で逮捕された同社元取締役の会社資金の私的流用について設置された社内調査委員会による報告書(開示版)。
逮捕された元取締役が知人や自身の関連会社を介し、上場前から2年半以上の期間で約 1.5億円にも及ぶ不正送金を実行していた事実を確認した。

上場前の同社規模からして、かなりの金額ではあるものの、社内調査委は「AppBank社が本件不正取引を事前に発見することは相当程度困難な事案であったと考えられる」などとして経営陣の責任は認めなかった。

ネット上に敵が少なくない当社は、有名ブロガーや週刊誌などによる追及を受けており、反社会的勢力との関連を指摘する「一部メディア」による報道も大きな話題となったが、続くリリースや「マックスむらい」直々のYouTube への釈明動画投稿などで、その事実がないことを表明している。

ノミネート番号:11

銘柄コード:6397郷鉄工所
[PDF] 資金の借入に関するお知らせ
カイジも真っ青 短期融資の鉄骨渡り

平成29年3月期第2四半期決算短信で純資産額が△12億8,926万円(前年同期比6億9,456万円減)であることを開示した当社は、内部統制不備で担当する監査法人も任期満了をもって異動に。

5月には最大14億円を超える資金調達を目指して有償株主割当による新株式発行を決議したが、その多くが失権しており、キャッシュ・フロー計算書上の「現金同等物」もマイナスになり続ける程、資金繰りが逼迫している。

そうした最中の当期は開示体制の充実を求められたのか、7月6日の「最近の借入金の状況に関するお知らせ」を皮切りに、短期資金の借入に関するお知らせが次々開示される事態に。

銀行からの調達も難しくなり、法人・個人からの2ケタ金利による数ヶ月の融資が散見され、借入条件が「手数料 借入金額の13.0%」となっているなど、金利面に詳しい投資家の視線を別の意味で集める状況が続いている。

ノミネート番号:12

銘柄コード:6636ソルガム・ジャパンHD(旧SOL HD)
[PDF] 営業外損失及び特別損失の計上に関するお知らせ
間口が狭すぎて減損

開示ファンにはその名を知らない者がいない「ソルガム」を、今年社名に冠することとなった当社。

当開示では昨年簡易株式交換で休眠会社を取得して乗り出した、当社とシナジー効果が期待(自称)される「レストラン・ウエディング事業」について、結婚披露宴の成約件数減少、人件費及び老朽化した施設の修繕費増加に伴い、当初予測していた収益確保が困難と予想されるため、のれんの減損損失5億52百万円ほかを計上する旨を公表した。

残念な減損はこれだけに留まらず、インドネシア現地法人が所有するペレット製造機および現地工場内の機械設備等の固定資産については、「インドネシアにおいて確保している圃場につき栽培には適した場所であるにも関わらず、圃場への連絡路が極端に狭いため収穫に必要な農耕機械の搬入が物理的に困難な場所であり、収穫においては不適地であることが判明」したため減損するなど、驚愕の投資判断力が次々明らかに。

今後は、相次いだ不適切開示により刷新された経営陣が、負の遺産とどう戦っていくのか注目される。

ノミネート番号:13

銘柄コード:7630壱番屋
[PDF] 産業廃棄物処理業者による、当社製品(ビーフカツ)不正転売のお知らせ
カツ転売を通報したパートに賞賛の声

今年1月、愛知県の産業廃棄物処理業者が、処理を委託された産業廃棄物(ビーフカツ)をスーパーに卸し、一般消費者が知らずに購入していたことが発覚。
報道やワイドショーも大々的に取り上げ、全国的に「食の安全」を揺るがす事態に発展した。

この事件を受けて廃棄処理を委託していた壱番屋は、該当する食材の写真や廃棄処理業者名・工場の所在地などを適時開示し、当社が廃棄した食材を一般消費者が購入することのないよう注意を呼びかけた。

処分委託先の選定に失敗したと全く言えないわけではないが、スピーディーな情報開示姿勢と、当社フランチャイズ先(系列店)のパート従業員が、廃棄食材をスーパーで発見して当社本部に通報するというモラルの高さが評価されてノミネート。

ノミネート番号:14

銘柄コード:8938LCHD(旧ロジコム)
[PDF] 第三者割当による新株式の発行、株式会社ダヴィンチ・ホールディングス株式の取得及び資本業務提携並びに主要株主の異動に関するお知らせ
ミスター1兆円ファンドの復活に業界関係者困惑

こちらも不動産クラスタ推薦枠。

2006年当時、不動産ファンドブームの象徴的存在となっていた「ダヴィンチHD」。
一時は約 1.5兆円もの資産を運用していたものの、リーマンショックの煽りを受け、債務超過額が 100億円を超えた2010年6月にヘラクレス(東証JQ)市場から退場を突きつけられた。

そんな不動産関係者なら知る人ぞ知る同社とその創業者が、アベノミクスの時を経てカムバック。
ロジコム(現・LCHD)が前述の創業者らから約7億円を調達し、ダヴィンチ株を購入するという、よく分からない事態には関係者もさすがに困惑した。

その復活が意味するものとは? チャンネルはそのままで。

ノミネート番号:15

銘柄コード:9898サハダイヤモンド
[PDF] (開示事項の経過)(開示事項の訂正・変更)「第三者割当により発行される株式および第11回新株予約権の募集並びに新たな事業の開始に関するお知らせ」
多忙を極めすぎた結果

株価10円基準で上場廃止に至るという感慨深い最期を迎えた当社。
終盤では謎の中華資本が参入し、謎の宗教法人が市場から直接株を買って経営者を送り込むなど、あまりに社内で何が起きているのか分からず、適時開示よりは闇株待ちの様相を呈していた。

当開示では、平成28年6月20日付『(開示事項の訂正・変更)「第三者割当により発行される株式および第11回新株予約権の募集並びに新たな事業の開始に関するお知らせ」』という開示文書について、東証先生の大幅赤ペン修正を受けた答案用紙が公開された。

増資資金の使途が開示されない中でなされた、「増資資金の分別管理が出来ておらず、また、担当取締役の口座管理の意識が欠如しており、当該資金調達を実施する以前に、別口座に手元流動資金が50百万円弱あったため、その金額に関しては支払いを行って構わないと考え」、もう使っちゃいました開示は観る者の心をほっこりさせた。

ノミネート番号:16

銘柄コード:9936王将フードサービス
[PDF] 第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ
餃子は焦げているか。

平成25年12月19日の早朝に王将フードサービスの当時の代表取締役が凶弾に倒れた事件に関して、九州に拠点を置く暴力団組員が関与している可能性があると報じられた。
これを受けて平成28年1月、反社会的勢力と関係があるかどうかを確認することを目的として王将フードのコーポレートガバナンスの評価・検証のため立ち上げられた第三者委員会による調査報告書(公表版)。

実際の反社会的勢力との繋がりに関しては、報告書内で「対象(産廃業者)が暴力団事務所から毒物を回収して処理場に持ち込んだ問題に関連して検挙されていた事実が認められるものの,当該産廃業者自体が反社会的勢力に該当していると認めるに足りない」といったような「認めるに足りない」認定が相次ぎ、報告書の話題性を引き上げた。

結論に至るまでの文章と、結論とのギャップが味わい深い第三者委報告書を、餃子を片手に召し上がれ。

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